ガスによるポロシティ(穴孔)と引け巣の違い

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ポロシティ(穴孔)は、鋳物中の隙間や孔と定義されます。しかしこの定義は、ポロシティ(穴孔)の根本的な原因については言及されておらず、その方向性も示されていません。鋳物のポロシティ(穴孔)は、金属が液体状の時に、ガスや凝固収縮が発生することで引き起こされます。 鋳物に耐圧性が必要な場合、ポロシティ(穴孔)によりガスや液体が部品から漏れる可能性があります。さらに、ポロシティ(穴孔)は鋳物の強度にも影響を及ぼします。ここでは、ガスによるポロシティ(穴孔)と引け巣の違い、およびポロシティ(穴孔)をシールするベスト・ソリューションについてご紹介します。

 

ガスによるポロシティ(穴孔)


概略
ガスによるポロシティ(穴孔)とは、液体状の金属内で、鋳型ガスや炉心ガスが滞留することによって発生するポロシティ(穴孔)です。鋳型キャビティには空気が存在しており、金属がキャビティに充填される際、空気が簡単に内包されてしまいます。キャビティに金属を充填する時に、この空気は高圧の小球体状にて飛散します。

 

形状
ガスによるポロシティ(穴孔)は、一般的に内面がスムーズな気泡のような形状です。常に浮遊しており、鋳物の上部周辺に見られます。

 

Gas_porosity.png

 

引け巣


概略
凝固時に、鋳物は鋳型内で収縮します。引け巣は、鋳物の一部が周囲よりも遅れて凝固し、その部分を完全に埋める十分な金属が流れ込まないために発生します。

 

形状
ギザギザ、または線状の形状をしています。一般的に、鋳物のコーピング部やドラッグ部、表面下に見られます。 

Shrink_porosity.png

 

 

ポロシティ(穴孔)の問題

アルミニウムや鉄の鋳物の場合、ポロシティ(穴孔)の量が増加すると、相互に連結して漏れ経路を形成します。ポンプ、コンプレッサー、トランスミッション、配管設備などのアプリケーションにおいてポロシティ(穴孔)が存在すると、鋳物が圧力を持つため、鋳物を使用できなくなってしまいます。 

焼結金属製の部品にポロシティ(穴孔)が発生した場合、メッキ処理に使用した化学物質が孔内に滞留してしまうため、重大なメッキに関する問題が引き起こされます。内包されたメッキの化学物質は、ある程度の力で膨張し、メッキ上に斑点が発生します。

 

鋳物のポロシティ(穴孔)の防止方法

最も経済的かつ成功する方法は、真空含浸法です。真空含浸法 、ポロシティ(穴孔)が生じた鋳物にシールを行う方法です。真空および/または加圧方式で、鋳物の肉厚内にある隙間にシール剤を入れます。この方法は、コスト・パフォーマンスが高く、鋳物のポロシティ(穴孔)に対する恒久的なソリューションです。含浸を行う鋳物のサイズに制限はありません。含浸プロセスは部品内で行われるため、鋳物に歪み、変色などの影響は及ぼしません。

 

真空含浸法とは、何世紀にもわたって鋳造エンジニアたちが求めてきたソリューション「漏れがなく、耐圧性に優れた鋳物」です。すべてのアプリケーション要件に合致しており、さらに経済的でもあります。